<<第37回:開発許可の対象地かを調べる【建物の建築・開発事業】
記事のポイント
- 都市計画道路は、既存道路の拡幅または新たな道路の新設計画がある
- 対象地が都市計画道路にかかると建築制限を受ける
土地区画整理事業が行われる理由
物件の調査の際は、対象エリアにおける都市計画や都市計画道路の有無も調べます。都市計画道路とは都市計画の一つで、指定されると既存道路の拡幅、または新たな道路の新設の計画をします。
対象地が都市計画道路にかかっていると、建築の制限を受ける可能性があるため調査が必要です。事業主体によって管轄部署なども異なるため、管轄を調べてから計画図等を取得しましょう。
都市計画
農林漁業とのバランスをとりつつ、健康で文化的な都市活動を確保するためのまちづくりのこと
計画決定の段階か事業決定かを確かめる
都市計画道路は、計画決定の段階と事業決定の段階に分かれます。計画決定したからといって、事業化されてるとは限らず、約50年経っても事業化されていない道路もあります。計画決定の段階でも、都道府県によっては優先整備路線や緩和路線が定められているため調べておきましょう。
事業化が決定すると事業を実現するために用地を買収したりするなど、実際に道路をつくる段階がはじまります。都市計画道路は工事が完了するまでは建築基準法 第42条1項4号道路として扱われますが、工事が完了すると第42条1項2号道路となります。
優先整備路線
都市計画道路の中で、優先的に整備していく路線のこと
緩和路線
都市計画道路の中で、建築制限が緩和されている路線のこと
第42条1項4号道路
現在は道路ではないが、2年以内に事業を執行し道路として指定予定の道路のこと。開発行為により新設される道路や土地区画整理事業での都市計画道路のこと
建物の新築や増築が可能なのは計画決定の段階までで、事業決定すると工事に支障をきたす恐れのある建物は原則として建築できません。また、計画決定の段階でもRCの建物は建てられないなどの制限がかかってしまいます。
RC
鉄筋コンクリートでつくられた建物のこと
実際の調査の流れ
STEP1
:対象地に計画道路がかかっているかを調査する
STEP2
:都市計画道路の路線名称と計画幅員等を確認する
STEP3
:計画決定の段階か、事業決定の段階かを調べる。決定年月日等を確認する
STEP4
:事業決定の段階であれば工期や工事進捗状況等を確認し、対象地の道路収容部分等の確認をする
STEP5
:対象の都市計画道路の管轄部署等から計画図を確認する(各路線により管轄が異なる)
都市計画道路による建築制限
計画決定された都市計画道路に対象地がかかる場合の建築制限等 |
---|
階数は2階以下で地階がない建物。 主要構造部は、木造、鉄骨造、コンクリートプロック造、その他これらに類する構造のものに限られる |
事業決定された都市計画道路に対象地がかかる場合の建築制限等 |
原則的に都市計画道路の事業地内での工事に支障をきたす恐れがある場合には建築できない。 土地の形質変更・建築物等の建設・重量物等の設置は許可が必要 |
まとめ
- 計画決定と事業決定の段階では建築の制限が異なる
- 都市計画道路の事業主体によって計画図等の取得先が異なる
- 計画決定されたからといって、事業化するとは限らない