用語解説

第78回:借地権を譲渡する際は承諾料がかかる【借地権の処理】

 

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記事のポイント

  • 借地権の土地に建った建物は自由に売買できない
  • 借地権は地主から承諾を得ることで譲渡できる

借地権譲渡における手続き

借地権は他人に譲渡することが可能です。そのためには、土地を持っている地主から承諾を得る必要があります。譲渡するか否かは売買契約が成立しないと確定しないため、不動産の売買契約書には、地主の承諾が得られることを前提として契約をするよう記載されています。

借地権を譲渡する場合は、地主との契約で定めた「譲渡承諾料」を支払う必要があることもあります。譲渡以外にも、法律上の義務ではありませんが建て替えなどにも承諾料がかかります。これは、土地賃貸借契約上で、借地権の地位を第三者へ譲渡する形になるからです。

譲渡承諾料は地主と借主との間で決めるため、地主が高額の承諾料を請求してくる可能性もあります。しかし、その承諾料が相場より明らかに高い場合は、地主との交渉の余地があります。それでも話がまとまらない場合には、借地非訟により裁判所が地主に代わる譲渡承諾の許可を得ることができます。その際の地主への承諾料は裁判所で取り決められた金額となります。

朽廃

建物が時間の経過によって社会的経済的価値がなくなること

譲渡承諾料の相場【借地権の譲渡】

譲渡承諾料借地権価格の10%程度
条件変更承諾料更地価格の10%程度
建て替え承諾料更地価格の3~5%程度
更新承諾料借地権価格の3~5%程度

その他の借地権処理方法

借地権を相続した場合など、借地権者になることで処理に困るケースもあります。売却するにも譲渡承諾料がかかりますし、借地権を持ち続けるためには建物を使わずとも地代を支払い続けることになります。借地権は立派な財産なので、実は譲渡以外にもさまざまな処理方法があります。特に、以下の4つの処理方法が代表的なものになります。

 

借地権の処理方法

借地権を地主に買い取ってもらう第三者へ売却するわけではないので、譲渡承諾料はかからない。地主も自由に土地を扱えるようになるのでメリットもある。しかし、金額が折り合わずに話がまとまらないケースも多い
借地契約の条件を変更建て替えしてアパート等を建築するなど、借地契約の条件を変更する。建て替え承諾料が必要。地主が条件
を変更してくれないケースも多い
借地と底地を交換借地と底地を交換することで、借地権者も地主も双方
が借地権の設定されていない土地を手に入れられる。たとえば、100坪の借地権と底地を双方が持っている場合、借地権者も地主も各々50坪の借地と底地を交換
することで50坪の土地を借地権なしで手に入れること
になる。確定測量した後に、分筆登記することが必要
地主から底地を購入地主から底地を購入すると、完全な土地所有権として第三者に売却できる。底地を売却してほしいと頼んでも売却してくれるケースは少ないが、逆に地主側から
売却を提案してくれるケースがある

底地

所有する土地に借地権が設定されている土地のこと。借地権設定されている土地上の土地利用者を借地権者、その土地の所有者を底地所有者と呼ぶ。つまり、底地所有者は地主のことである


まとめ

  1. 借地権を議渡するには「譲渡承諾料」を支払う
  2. 地主の承諾が得られない場合は、借地非訟を申し立てる
  3. 借地権は財産なので、さまざまな処理方法がある
  4.  

>>第79回:定期借地権のマンションのメリット・デメリット

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