<<第82回:表面利回りより実質利回りを重視する【不動産投資の収益計算方法】
記事のポイント
- 家賃収入から維持管理費を差し引いたのが純収益
- 自己資金に対して得られる年間の収入の割合が自己資本収益率
不動産投資で使われる2つの指標
不動産投資では、利回り以外にも使われる指標があります。それが、「純収益」と「自己資本収益率」です。
「純収益(NOI:Net Operating Income)」とは、家賃収入から維持管理コストを差し引いた純粋な収益です。維持管理コストには、支払金利、減価償却等は含まれません。
「自己資本収益率(CCR:Cash on Cash Return)」とは物件購入の際の自己資金に対して、得られる年間の収入(生ャッシュフロー)の割合です。
純利益の計算式
純収益=年間家賃収入一維持管理コスト等(管理費、修繕金、固都税等)
自己資本収益率の計算式
自己資本収益率=(純収益ーローン支払い額)÷自己資金額×100
自己資本収益率を高める3つの方法
自己資本収益率を高める(レバレッジ効果を高める)には、主に3つの方法があります。
1つ目は、頭金を少なくすること。投下する自己資金が少なくなるため、当然自己資金に対する収益率は上がります。ただし、借入額も高くなるため、純収益は低くなります。また、空室になった際にローンの支払いだけが残るリスクも高くなります。2つ目は、ローンの金利を低くすること。ローン支払額が少なくなり、収益率が上がります。金利は借入者の属性や担保評価、そして金融機関によっても変わります。3つ目は、借入期間を長くすること。毎月のローン支払額が少なくなります。都市銀行の場合は金利が低く、借入期間は減価償却の残存年数以下となるのが一般的です。ノンバンクの場合は金利が高く、借入期間は減価償却の残存年数を超えて設定することも可能です。
ただし、残存年数がなくなると、減価償却費を経費として計上できないため所得税が上がります。会計上の不動産資産は土地評価のみになるため、それ以上の借入をしている場合には債務超過と判断され、次のローン審査が厳しくなる点にも注意が必要です。目先の純収益を上げるだけではなく、長期的なスパンで検討することも大切です。
債務超過
借入額が資産を上回る状態のこと。会計上の資産評価以上の借入がある状態
建物の耐用年数
建物構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
まとめ
- 宅純収益の維持管理コストに、支払金利・減価償却費は含まれない
- 金利を低くすると、自己資本収益率が上がる
- 減価償却の残存年数がなくなると、所得税が上がる