<<第89回:22年が木造住宅の寿命とは限らない【不動産物件の寿命】
記事のポイント
- 抵当権で差し押さえられた物件は競売にかけられる
- 物件が差し押さえられると、執行官と不動産鑑定士で調査を行う
競売の売却代金は債務返済にあてられる
住宅ローンを組んだ場合、購入した物件に抵当権が設定されます。ローンを借りていた債務者が返済できなくなると、抵当権設定者が裁判所に申し立てをして担保としている不動産を差し押さえます。差し押さえられた物件は競売にかけられ、売却代金が債務返済に充てられます。
なお、住宅ローンを組む際には保証会社を利用するケースが多いため、融資した金融機関ではなく保証会社が抵当権設定者になるケースがほとんどです。
競売を開始するまでの流れ
住宅ローンを借りた債務者のローン返済が滞ると、金融機関から督促等が届きます。催促からさらに返済しない期間が数ヵ月続くと、「期限の利益」が喪失されます。
期限の利益が喪失すると、まず金融機関から保証会社へ債権が譲渡され、保証会社から金融機関へ代位弁済が行われます。そして、保証会社やサービサーから債務者に一括返済を求める書類が送られ、裁判所による担保物件の差押え手続き・競売手続きが進んでいきます。
物件が差し押さえられると、裁判所の執行官と不動産鑑定士は、担保物件の調査に行きます。俗に3点セットと言われる競売の資料を作成するためです。
現況調査報告書には、部屋の占有者等へのヒアリング事項、室内状況の写真が掲載されています。しかし、夜逃げや居留守によって室内を調査できないこともあります。
そのような場合は、執行官の職権により鍵屋に鍵を解除してもらい室内に入ることが可能です。仮に室内にいる人が執行官や不動産鑑定士の立ち入り等を拒否したり妨害すると、公務執行妨害に当たる可能性があります。現況調査や評価を行うことで、売却の基準価格等が確定します。
代位弁済
ローン借入者(債務者)に代わって保証会社等が金融機関(債権者)へ返済すること。住宅ローン返済滞納が続くと保証会社より代位弁済が行われ保証会社はローン借入者(債務者)に対して債務返済の求償権を得て保証会社より警促が届くようになります
評価書
競売物件の売却基準価格となる鑑定評価のこと
競売に関する3点セット
- 物件明細書
- 現況調査報告書
- 評価書
競売が開始するまでの流れ
STEP1
:金融機関からの督促が数ヵ月続き、債務者が一向に返済しない
STEP2
:金融機関から保証会社へ債権譲渡され、代位弁済
STEP3
:期限の利益の喪失
STEP4
:譲渡され、代位弁済期限の利益の喪失
STEP5
:保証会社が裁判所で担保物件の差押え競売手続き
STEP6
:裁判所より債務者へ競売開始決定通知が届く
STEP7
:担保物件差押登記
STEP8
:執行官や不動産鑑定士の現況調査
STEP9
:広告・競売開始・入札
まとめ
- 抵当権設定者は保証会社になるケースがほとんど
- 期限の利益が喪失すると、金融機関から保証会社へ債権を譲渡する
- 執行官の職権により、鍵を解除して競売物件に入ることが可能