記事のポイント
- 木造建物の耐用年数は22年と定められている
- 古い建物だから建物の質が劣っているわけではない
建物の寿命はメンテナンス次第
一般的に木造住宅の寿命は22年と言われています。実際に、木造建物は減価償却で耐用年数が22年と定められていますし、不動産鑑定や税金の計算も同様です。
しかし、実はこの22年という数字に特別な根拠もありません。戦後間もない頃なら納得できますが、今は日本の建物技術も大きく進歩しています。
古い建物だからといって、建物の質が劣っているわけではありません。建物の寿命を気にして迷っているお客様がいたら、メンテナンス次第だということを伝えましょう。
ただし、築年数が経過している建物は、住宅ローンの借入期間に影響が出ます。住宅ローン控除の適用条件に築20年までという縛りもありますが、下表のうちーつでも条件を満たすと耐震基準が適合しているとみなされ、住宅ローン控除を適用することができます。
住宅ローン控除を受けるための3つの方法
1 | 耐震基準適合証明書を取得 | 国土交通大臣が定める耐震基準に適合していることについて、建築士等が証明したもの |
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2 | 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得 | 既存住宅性能評価において、耐震等級1以上が確認されたもの |
3 | 既存住宅売買瑕疵保険に加入 | 住宅瑕疵担保責任保険法人による中古住宅の検査と保証がセットになった保険(既存住宅売買瑕疵保険)に加入していること。同保険への加入には現行の耐震基準に適合していることが要件とされている |
耐震化の必要性
耐震基準を満たしていなければ、耐震基準適合証明などの書類は取得できません。その場合は、住宅ローン控除を受けるために、耐震改修工事をすることになるでしょう。
厄介なのは地震の発生時期が予測できないことです。いつ来るかわからない地震の被害より改修費用のほうが現実的なため躊躇してしまう人もいます。
日本の法律では住宅の耐震化は義務ではありません。地震の防災というと、避難グッズや家具の転倒防止を思い浮かべるかもしれません。しかし、地震によって家屋が倒壊してしまえば、それだけで自身や家族の命にも大きな危険が及びます。耐震基準を満たしていない中古戸建てを購入する際は、耐震改修にお金がかかることを前提に取引を進めるようアドバイスしましょう。
中古住宅の流通は活性化していく
中古住宅の流通量は新築住宅と比べると低い状態です。そこで中古住宅の流通を促進するために建物状況調査の幹旋の有無を契約書に記載するようになりました。今後は、古くても良い物件は正当に評価されていくと思います。
建物状況調査
国土交通省(こくどこうつうしょう)の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁など建物の構 造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏 り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査。
まとめ
- 築年数が古いと、ローンの借入期間に影響が出る
- 日本の法律では住宅の耐震化の義務はない
- 耐震は命に関わるため、費用がかかるからと躊躇すべきではない