用語解説

第51回:宅建業者が関わる場合は必ず書面を用意する【契約書】

 

<<第50回:重要事項説明はわかりやすく説明する【不動産物件】


記事のポイント

  • 宅建業者が供介や代理、 売主となる場合は37条書面(契約書)が必演
  • 事前に買主に告げなければいけない事項を契約書にまとめる

宅建業者が関わる場合は契約書が必要

宅建業者は①売買・交換②売買・交換の仲介③代理④賃貸の仲介となる場合は、決められた事項を記載し宅建士の記名押印をした書面(37条書面)を宅建業者が作成し契約当事者に交付しなければいけません。実務では不動産売買契約書に37条書面の記載事項を記載するケースがほとんどです。どんなに高額な物件の売買取引であろうとも、個人同士のやり取りであれば売買契約書は必要ありません。口頭で約束するだけで取引が成立します(諾成契約)。その後、お金を渡して所有権移転登記さえすれば取引終了です。ただし、不動産の専門的な知識を要している宅建士を介して売買契約を締結した方が安心です。のちに紛争になった際に契約を証明するためにも契約書が必要になります。

37条書面

宅建業法第37条に記載されている事項。売買契約締結後に遅滞なく宅建士の記名押印し宅建業者が当事者に渡さなければならない書類。実務においては、37条書面で記載しなければならない事項が売買契約書に記載されている

諾成契約(だくせいけいやく)

契約の当事者間での合意した意思表示だけで契約が成立すること。宅建業者がからむ不動産取引以外(宅建業法に規定される取引以外)であれば、不動産売買であろうと原則的に当事者間の合意だけで契約が成立する

 

故意に事実を告げないと損害賠償請求される

契約書を作成する前に、売主に物件状況報告書および告知書の記入をしてもらい、事前に買主に告げなければならない事項があれば契約書にまとめるようにします。個人間売買で売主が瑕疵担保責任を一切負わないとする特約は有効ですが、故意に事実を告げない場合は、民法の適用により損害賠償請求される場合があります。その旨も売主にわかりやすく伝えましょう。

契約書の記載事項

  1. 当事者の氏名および住所
  2. 物件を特定するために必要な所在等
  3. 建物の構造耐力上主要な部分等の状況
  4. 代金又は交換差金の額並びにその支払の時期及び方法
  5. 宅地又は建物の引渡しの時期
  6. 移転登記の申請の時期
  7. 代金及び交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
  8. 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
  9. 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
  10. 代金又は交換差金についての金銭の貸借の斡旋に関する定めがある場合においては、当該斡旋に係る金銭の貸借が成立しないときの措置
  11. 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容
  12. 当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容
  13. 当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定め
  14. 特約事項等
契約書作成時の確認事項
  • 契約締結予定日および決済(引渡し)期日
  • 手付金の額および手付解除期日
  • ローン利用の有無およびローン金額、審査申込金融機関
  • ローン承認取得期日およびローン解除期日
  • 確定測量実施するかどうか?(実測により登記面積と差異が出た場合の精算の有無)
  • その他、引渡し条件・当事者間での取り決め事項等
  • 物件の登記簿謄本

まとめ

  1. 宅建業者が仲介した場合、37条書面を作成する
  2. 個人間での売買であっても仲介業者がいた方がいい
  3. 故意に瑕疵を告げないと損害賠償請求される可能性がある
  4.  

>>第52回:契約解除の違約金は契約によって変わる【債務不履行】

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