記事のポイント
- 売却を前提とするなら売主のヒアリングをうのみにするのは危険
- 訪問認査では価格を左右する事項を見落とさずにチェックする
不動産を売却前提の場合は現地査定が必須
不動産の査定方法には大まかに2つのパターンがあります。1つは現地等を確認しないで書類等だけで算出する机上査定、もう1つは現地を調査して算出する訪問査定です。
机上查定
市況や市場性と対象不動産の規模等を机上で勘案して査定するのが机上査定です。地域によって条例が異なるため、査定対象の地域の条例もネットなどで確認しておきましょう。たとえば、最低敷地面積が30坪必要なエリアで、査定対象地の敷地面積が20坪しかない場合は建物が建てられないため、査定価格が下がります。
訪問査定
訪問査定は、現地訪問を行い、個別的要因も勘案して価格査定を行うことです。机上査定では高い査定金額だったにもかかわらず、現地確認後にマイナス要因が見つかれば査定金額が下がってしまう可能性もあります。たとえば、近隣で高い建物への建て替えなどが行われていると、眺望や採光等の条件が変わってしまうため、査定額がマイナスになってしまう、などです。査定の段階でどこまで調査するか迷うところですが、売却を前提とした査定であれば依頼者からのヒアリングだけをうのみにせず、必ず現地での照合等や調査をしましょう。
最低敷地面積
建築物を建てられる最低限度の敷地面積で地域ごとに変わる。小規模な敷地の増加による市街地の建て詰まりを防ぐ目的がある
不動産の訪問調査でのチェック事項
建物経年劣化等 | メンテナンスの必要性等を価格に加味する |
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セットバック、すみ切りの必要性 | セットバック等が必要な場合は、対象地面積が減る |
擁壁(ようへき) | 2m以上の擁壁は建築確認が必要である |
がけ地、法地 | がけ地や法地は有効宅地面積にはならない。仮に敷地面積が100坪あっても半分が法地であれば有効宅地部分は50坪しかない |
未接道 | 未接道だとその土地に建て替えができないため、価値が下がる。訪問調査を行えば、未接道か否かは大体把握できる。もし、未接道の可能性があれば、道路調査を行う |
敷地延長、地形が悪い敷地 | 敷地面積が広くても、そのすべてに建物が建てられるわけではない。有効宅地面積がどの程度かを調べる |
車両の交通量、車両が入って来れない場所等 | 車両による騒音がどの程度か、不便な一方通行の道路がないか等を調べる |
近隣環境(駅、生活施設、嫌悪施設等) | 駅までの道が坂道だらけか、近所のスーパーが閉店していないかなどを調べる |
眺望、採光等 | 近隣で建て替え等が行われると眺望や採光が変わる。建て替えを知らせる看板があるだけでも不動産の価値は変わる |
市場流動性 | 市場流動性とは、その物件が市場で出回ったときに取引されやすいかどうか。似たような物件がどの程度の価格で成約されるかという相場を調べることでわかる。相場は地元の不動産会社が把握しているため、ヒアリング調査を行う。賃料の相場がわかればそのエリアの住居層が見えてくる。不動産会社の店頭広告なども参考になる |
まとめ
- 売却を前提とするなら訪問調査が必要
- ネットなどで地域の法令等の調査は確認できる
- 建て替えの状況等、現地に行かないとわからないこともある