記事のポイント
- 現地調査では、まず境界標の有無を確認する
- 土地家屋調査士に依頼すると境界標を復元できる
境界標で土地の境界が明確化される
現地調査では、まず境界標の有無を確認します。境界標とは、隣の土地との間の境界線を確定させるための目印のこと。境界標と境界標を結ぶ線が境界線となるため、土地の境界が明確化されます。基本的に不動産の契約書には、土地の境界を明示してから引渡す旨が記載されています。境界を明示しないと物件の敷地面積がわからないからです。
もちろん、境界を確定させたからといって大きく土地の面積が変わるわけではありません。しかし、そのわずかな差が土地の価値に大きな影響を与えることがあります。たとえば、境界を確定させた際にわずかでも最低敷地面積に足りていなかった場合、その土地の価値は一気に下がることになります。
境界標の確認の仕方
- コンクリート製
- 金属鋲
- プラスチック製
- 金属板
境界標がない場合の対策法
いざ現地で探しても境界標が見つからないこともあります。その場合、以下の2つの方法をとることができます。
土地家屋調査士に依頼する
境界標の復元が可能です。境界は隣地に住んでいる人にも関わることなので、立ち会ってもらいながら境界を復元します。その際、越境部分に関しての覚書が締結されているかを売主に事前確認し、まだ締結していない場合は覚書を取り交わします。手数料は数十万円です。隣地の土地所有者と連絡がとれない、境界部分を隣地の人が認めないなど交渉等に時間を費やすこともあります。
覚書
当事者双方での取り決め等を記載した書面のこと。口頭でのトラブルを避けるために締結が必要
境界非明示の特約をつける
土地家屋調査士への依頼は時間も手間もかかるため、境界を非明示にしたまま取引が行われることもあります。その際は、契約書に必ず特約としてその旨を明記します。
境界非明示で取引を行う際は、公簿売買が行われることになります。実測精算ではないため、誤差に関してはお互いに受け入れることが前提となります。面積が確定しないため、土地を分筆することもできません。基本的には明示させるのが無難と言えるでしょう。
公簿売買
測量によって登記簿面積と差異が生じたとしても、面積差異部分の精算は行わずに登記記載面積を売買対象面積として売買契約を締結すること
実測精算
測量によって登記面積と差異が生じた場合、面積差異部分を残金決済時に精算すること
分筆
現況の地番(土地ごとに割り振られた番号)の地積(土地の面積)を分割すること
分筆とは
分筆とは、登記簿上の一つの土地を複数の土地に分けて登記をする手続きのことです。土地は1筆、2筆と数えますが、土地を分けることは「筆」を分けることになるので分筆と言います。ちなみに、分筆とは反対に、複数の筆の土地を一つの筆にまとめることを合筆と言います。
まとめ
- 境界標とは、隣の土地との境界線を確定させる目印のこと
- わずかな面積差が、土地の価値に大きな影響を与えることもある
- 隣地とのトラブルで境界が確定できないこともある