<<第75回:借地権には双方にメリットがある【借地権のメリット】
記事のポイント
- 借地借家法の施行以前の契約は旧法借地、以後は新法借地と呼ぶ
- 旧法借地と新法借地では借地期間が異なる
借地借家法の施行はいつ?
借地借家法は平成4年8月1日に施行された法律です。それ以前は、借地法と借家法に分かれていました。借地借家法の施行前までに借地契約をした場合は旧法借地、それ以降に初めて借地契約をした場合は新法借地と呼びます。借地権の譲渡が平成4年8月1日以降に行われたとしても、借地権の契約がそれ以前に行われていたのであれば旧借地法が適用されます。
旧法借地と新法借地の違い
旧法借地と新法借地の主な違いは借地期間です。旧法借地の場合は堅固建物(RC造、鉄骨造等)と非堅固建物(木造等)で当初設定の契約期間と更新後の契約期間が区分されております。堅固建物30年以上(更新後30年以上)、非堅固建物20年以上(更新後20年以上)として、それ以下の短い契約期間は期間の定めのないものとみなされ堅固建物60年(更新後30年)、非堅固建物30年(更新後20年)とされる可能性があります。
ー方で、新法借地の場合は堅固建物と非堅固建物の区分はなく、借地期間は一律で決まっています。最初の契約は30年、次の更新は20年、その次の更新は10年と借地期間はどんどん短くなっていきます。
堅固建物
鉄骨造や鉄筋コンクリート造等の構造の建物
非堅固建物
軽量鉄骨造や木造等の構造の建物
定期借地権が制定された
新法借地では新たに定期借地権が制定されました。定期借地権とは、法定更新がなく期間満了で消滅する借地権のことです。借地権者にとっては従来の借地権よりも権利金が低額で、地主にとっても土地が期間満了で確実に戻ってくることから、双方にメリットのあるケースが多いです。
定期借地権契約を結ぶ場合、借地権者は期間が終了するまでに土地を更地にしなければいけません。一般定期借地権・事業用定期借地権の契約を結ぶ際は、必ず公正証書による契約書が必要です。公正証書がないと、普通借地権とみなされる可能性があるので注意が必要です。
一般定期借地権
建物の利用用途は限られておらず借地期間を50年以上とし、契約期間終了により原則的に借地人は更地にして土地を返還する借地契約。
事業用定期借地権
事業用建物所有を目的とした借地期間を10年以上50年未満とし、契約期間終了により原則的に借主人は更地にして土地を返還する借地契約。
新旧借地期間の比較
設定当初の存続期間 | 更新後の存続期間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
最初の更新 | 2回目以降の更新 | ||||
借地法(旧法借地) | 旧法上の借地権 | 堅固建物 | 30年以上 | 30年以上 | |
60年 | 30年 | ||||
非堅固建物 | 20年以上 | 20年以上 | |||
30年 | 20年 | ||||
借地借家法 | 普通借地権 | 30年以上 | 20年以上 | 10年以上 | |
30年 | 20年 | 10年 | |||
定期借地権 | 一般定期借地権 | 50年以上 | 更新なし。期間満了後は建物を解体し、土地を明け渡し | ||
建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 建物譲渡により借地権は消滅 | |||
事業用定期借地権 | 10年以上50年未満 | 更新なし。期間満了後は建物を解体し、土地を明け渡し |
まとめ
- 新たな惜地借家法は平成4年8月1日に施行された
- 新法借地では、新たに定期借地権が制定された
- 一般定期借地権・事業用定期借地権には公正証書が必要