<<第38回:対象地に都市計画道路があるかを確認する【優先整備路線・緩和路線】
記事のポイント
- 道路や公園を計画的に整備することを「土地区画整理事業」と呼ぶ
- 仮換地指定後は、従前の土地は使えなくなる(※従前地とは、土地区画整理事業が実施される前の、もとからある土地のこと)
土地区画整理事業が行われる理由
道路や水道等が未整備だったり、道が入り組んだ地域で無秩序に住宅が建てられてしまうと、住みよい街でなくなってしまいます。そのような街に対して、道路や公園を計画的に整備し新しい街区をつくっていく街づくりのことを「土地区画整理事業」と呼びます。都市計画の一つとして行われる事業で、土地地権者同士が組合を形成し民間事業者が行う事業等があります。
土地取引の際に気を付けること
土地区画整理事業地内の土地取引をする際は、事業の進捗状況を聞くことが大切です。調査する際には、土地区画整理事業の事務所や組合等から仮換地指定通知書(証明書)や仮換地の重ね図等を取得しておきましょう。
土地区画整理が行われる場合、実際の売買対象地はあくまでも従前地ですが(登記も従前地)、従前地は使用収益することができません。なので仮換地を指定して従前地の代わりに使用収益できる場所を提供します。
仮換地が指定された際に注意したいのが、登記や登記面積が仮換地ではなく従前地のものとなること。たとえば、登記記載面積では150㎡となっているのに、実際に使用収益できる仮換地では、土地面積が100㎡しかないこともありえます。その結果、建築できる建物の条件も変わってしまいます。仮換地が登記ができるのは換地処分後(事業終了後)です。その際に精算金等が発生することとなります。減歩により精算金を交付される、もしくは精算金を払わなければならない場合もあるため、事前に確認しておきます。最終的には換地処分後でなければ精算金が確定しないため、賦課金(ふかきん)が発生するリスクもあります。
従前地(じゅうぜんち)
土地区画整理を行う前の土地のこと
使用収益
土地を使用して利益をあげること
仮換地(かりかんち)
土地区画整理の間、従前の宅地の代わりに仮で使用できる土地
減歩(げんぶ)
土地区画整理後に、従前地と換地後の面積が異なること
賦課金(ふかきん)
公的機関などが必要となる事業の資金を広く集めるために税金といった仕組みで割り当てて負担するお金のこと
まとめ
- 従前地の登記簿と仮換地指定証明書で所有者を確認する
- 減歩や賦課金による精算金の有無を確認する
- 換地処分後(事業終了後)でなければ精算金等が決まらない