<<第73回:借地借家法によって借地権者は保護される【借地権とは】
記事のポイント
- 借地権は貸借権と地上権に分けられる
- 地上権の場合は、第三者に売却するのに地主の承諾が必要ない
地主の承諾が必要
借地権は、地上権と土地貸借権の2種類に分けられます。地上権が設定されている土地は、土地の所有者の承諾なく自由に売買できます。しかし、市場で流通している借地権のほとんどは土地貸借権であるため、第三者へ借地権を売却する場合は契約上の地位譲渡にあたります。地主の承認が必要です。土地賃借権である借地権を売買する際は、地主の承諾を得ることを停止条件として契約を締結することが重要です。契約締結後に地主から承諾を得られずに決済ができなかった場合に、買主から違約と主張されないためです。ただし、地主が承諾しない場合でも借地非訟手続きによって裁判所が許可することもあります。不動産を売却するときは、所有権に比べて借地権のほうが市場の流通価格が劣る傾向にあります。
地位譲渡
借地権は、建物所有を目的とした土地の利用権利。その借地権を第三者へ譲渡することは、利用権利を譲渡することになる
借地非訟
借地権を売却したいが、土地所有者(地主)が承認してくれない。また借地上の建物の増改築をしようと考えているが、土地所有者から断られてしまった場合などに、利用されるのが借地非訟手続き。地主の代わりに裁判所で認めてもらうことにより、地主の承諾がなくても様々な権利の譲渡や売却、借地上の建物の建築・増改築が行えるようになる。
借地権の流通価格が劣る理由
- 毎月の地代が必要
- 売却するにも地主の承諾と承諾料が必要
- ローンを利用できる金融機関が限られてくる
借地権を売却するのに必要な書類
相続で借地権を引き継いだ場合などでは、借地権契約書を紛失していることがあります。借地権契約書がないと、借地権の契約期間がわからないため、地主から契約書の控えをもらいましょう。もし、地主も借地権契約書を紛失していた場合は、借地権者が住民登録した日程を調べ、その後に地主と借地期間をすり合わせます。
書類はすべてそろっていても、借地権契約書上の土地所在地と建物登記記載事項に記載されている土地所在地が合致していないこともあります。これは、土地が分筆されていたり合筆されているときに起こりがちです。
地主が大きな一筆の土地の一部を借地権として設定していたり、借地権設定後に分筆して一部の土地を売却しているケースもあります。土地登記の履歴を調べて、分筆や合筆の時期などを調べておきましょう
まとめ
- 土地貸借権である借地権の売却には地主の承諾が必要
- 借地権を売却する際は、借地権が設定されてることを証明する
- 借地権契約書を紛失している場合は、地主に連絡する