<<第29回:法務局で書類を取得する【不動産購入時の法務局調査】
記事のポイント
- 登記事項証明書で所有者や取得経緯を調べる
- さかのぼって地歴等を確認する場合は閉鎖謄本を閲覧する
登記事項証明書は誰でも閲覧可能
公図により対象地の地番が判明したら、その地番を元に書類を取得していきます。まずは、登記事項証明書(不動産登記簿)を取得しましよう。登記事項証明書は建物であれば建物ごと(マンションは部屋ごと)、土地であれば地番ごとに存在します。登記事項証明書(不動産登記簿)を取得することで、対象地の大きさや所有者の氏名等や取得経緯(売買、相続等)、抵当権の設定有無などがわかります。登記事項証明書は不動産取引の安全と円滑化を目的とて誰でも関覧が可能です。売主の物件であっても、委任状なしで宅建業者が閲覧することができます。
登記事項証明書
「謄本」のこと。
抵当権
住宅ローン等でお金を借りる際に不動産を担保として金融機関が設定する権利のこと。債務返済ができなくなった際に担保不動産が競売にかけられた際に優先的に返済を受けられる権利。原則的に住宅ローンで購入しようとする物件に抵当権が設定される
さかのぼって地歴を確認する際に必要なこと
もし登記事項証明書よりさらにさかのぼって土地の地歴等を調べる必要があるときは、閉鎖謄本を閲覧しましょう。現在の証明書以前に、どういう経緯で土地が分筆され所有権が移ったかなどの経緯が書かれています。
閉鎖謄本とは、登記が閉鎖された時の記録のこと。登記が閉鎖される際は、2つのケースがあります。1つ目は土地の合筆や消失等で閉鎖されるケースです。たとえば現在の地番が「67-26」となっている場合、元々地番「67」だったものを分筆されているため、分筆前の地歴を知るためには閉鎖謄本が必要です。
2つ目は、コンピューター化にともない閉鎖されたケースです。それ以前の情報は法務局に冊子で保存されているので、閲覧やコピーを請求しましょう。
土地の合筆
2筆以上の土地を合わせること
不動産豆知識
登記に公信力はない
「登記には公信力がない。」と言われています。登記があれば自分が所有者だと第三者へ主張できますが、最終的には登記よりも真実が優先されます。たとえば、売主Bから不動産を購入し、実際に所有者の登記をBから買主Cのものに変えたとします。しかし、後にその不動産の所有者がBではなく、Aという人物だと発覚します。Bは自分の所有物ではない不動産をCに売りつけるという詐欺を働いたのです。この場合、実際に登記されているのがCの名前だからといって、権利はCのものにはなりません。あくまで本来の所有者であるAの不動産となります。登記事項証明書に記載されている所有者が必ずしも真の所有者だとは限らないのです。
まとめ
- 登記事項証明書は誰でも取得できる
- 土地が合筆したり建物が滅失すると登記が閉鎖される
- 登記に記載されていることが真実とは限らない