<<第72回:賃貸契約解除時の精算金【不動産賃貸物件の解約】
記事のポイント
- 借地権の土地に建った建物は自由に売買できない
- 借地権は地主から承諾を得ることで譲渡できる
借地権とは?借地権は売買が可能
不動産売買では、基本的に自分の所有している物件を自由に売却できます。しかし、土地の所有権ではなく借地権上での建物の売買は、借地権設定者(地主)の承諾なく自由に行うことができません。借地権とは、借地借家法によって定められている建物の所有を目的とした地上権又は土地の貸借権のことです。
土地利用権を得た者を借地権者と呼びます。また、地主(土地所有者)のことを借地権設定者(底地権者)と呼ぶこともあります。各々が持っている権利を図に表すと下図のようになります。
また、借地権者が第三者に建物を賃貸することもあります。その場合、権利の内訳は下図のようになります。
借地借家法
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
建物かどうかが重要
建物所有を目的としていなければ借地権にはならないということです。借地借家法の保護を受けられません。たとえば、ソーラーパネルの設置や立体駐車場を建築する目的での土地賃貸借契約は、借地借家法の適用を受けません。建物の定義に当てはまらない場合は、ただの賃借権という扱いになります。未登記建物を建物として売買することもあります。しかし、借地権にあたるかどうかについては、建物が「登記可能かどうか」によって決まります。
登記がなければ建物の所有権が明確にならないため、借地権にはあたりません。借地権が設定されている場合、建物の登記簿には借地権者の名前、土地の登記簿には借地権設定者の名前が記載されることになります。ただし、土地と建物の登記簿謄本の名義人が違うからといって必ずしも借地権が設定されているとは限りません。借地権ではなく、使用貸借権のみの契約かもしれないからです。
まとめ
- 借地権とは、建物の所有を目的とした土地利用権のこと
- 借地権における建物の定義は登記可能かどうかで決まる
- 土地と建物の名義人が違っても催地権か設定されてないことがある