<<第49回:物件購入の意思表示を書面で行う【不動産の買付証明書】
記事のポイント
- 重要事項説明の主旨は引渡し後のトラブルを避けること
- 買主によって購入の判断で重要な事項は変わる
トラブルを避けるため重要事項説明を行う
契約の締結日前には重要事項説明書を作成しておきます。重要事項説明(重説)は、引渡し後のトラブルを避けるためです。重説を行うには、宅建士の免許が必要です。実務では売主仲介会社の宅建士が重説をするケースが多いです。
買主により購入判断に重要な事項は変わります。記載必須の事項は基本的には変わりませんが、調査した事項で必要な部分を宅建士の判断で記載するため、宅建士によって重要事項説明書の内容は変わる場合もあります。「調査したが不明である」、「別途、調査費用等がかかる」等もしっかりと当事者に説明する必要があります。
重要な事項
宅建業法35条で重要事項説明書に記載しなければならない事項が決められているが、これはあくまでも最低限の記載事項である
不動産契約当日に説明されることがほとんど
重要事項説明は契約日に行うケースが大半です。はじめて不動産取引をする人にとっては専門用語ばかりで何が重要なのかがあまりわからないかもしれません。
重説の記載事項を上から順番に読んでいき最後に「何か質問はないですか?」と聞かれます。買主の中には何を質問していいかもわからない人が多いので、買主仲介会社の宅建士は要約して買主にわかりやすく説明してあげましょう。契約前日までには、買主仲介者は重説および契約書の要点だけでも説明しておくことが望ましいです。
重要事項説明書に記載する事項
1.対象となる宅地又は建物に直接関係する事項
- 登記記録に記録された事項
- 借地権(使用貸借権)付建物の売買等の場合
- 第三者による対象物件の占有に関する事項
- 都市計画法・建築基準法等の法令に基づく制限の概要
- 私道の負担に関する事項
- 当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か
- 当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か
- 当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か
- 住宅性能評価を受けた新築住宅である場合
- 建物についての石綿使用調査結果の記録に関する事項
- 建物状況調査の結果の概要(既存の住宅のとき)
- 建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況・建物の耐震診断に関する事項(既存の建物のとき)
- 飲用水・ガス·電気の供給施設及び排水施設の整備状況
- 宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状・構造等(未完成物件等の場合)
2.取引条件に関する事項
- 代金·交換差金及び地代に関する事項
- 代金·交換差金以外に授受される金銭の額及び授受の目的
- 契約の解除に関する事項
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
- 手付金等保全措置の概要(宅地建物取引業者が自ら売主となる場合)
- 支払金又は預り金の保全措置の概要
- 金銭の貸借に関する事項
- 割賦販売の場合
- 宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任に関する保証保険契約等の措置
3.その他事項
まとめ
- 重要事項説明を行うには宅建士の免許が必要
- 調査してもわからない事項は「調査したが不明である」と説明する
- 契約当日までには重説・契約書の要点だけでも買主に説明しておく