<<第45回:住宅ローン本審査では不動産担保を評価する【担保評価】
記事のポイント
- ローン本審査承認後は決済日を確定させる
- 期限の利益とは、債務者にとっての借入期間のこと
事前に決済日等の打合せをする
ローン本審査が終わったら、銀行と住宅ローンの契約を締結します。その契約が金銭消費貸借契約(金消契約)です。金消契約では、借入期間、返済日、借入金利等が取り決められています。決済日が決まらなければ実際の返済金利も確定できないため、ローン本審査承認後は事前に売主ー仲介担当者ー司法書士と決済日等の打合せをしておきます。
決済日が確定したら銀行担当者に連絡をして、金消契約締結日の予約をします。決済日の一週間前には金消契約を終わらせておきましょう。必要書類等を準備して銀行で行うため、基本的には窓口が営業している平日に行います。契約時には、借入者が返済不可となった際の債権回収のために抵当権設定契約書等も同時に締結します。
決済日
売買物件の残代金や精算金等を売主に支払い物件の引渡しを受ける日のこと。決済日に住宅口ーンが実行され、残代金等の支払い精算等が完了される
引き落とし口座
住宅ローンを申し込んだ銀行の口座を持っていない場合には、銀行担当者と打ち合わせの上で住宅ローン引き落とし口座の開設が必要かどうか確認しましょう。
「期限の利益の喪失」とは
抵当権設定契約書には「第一順位の抵当権を設定する」等の記載があります。抵当権の順位は債務弁済を優先的に受けられる順番であり、住宅ローンを組む場合、金融機関は必ず第一順位に抵当権を設定します。
また、抵当権設定契約書には、「期限の利益の喪失」という言葉が出てきます。期限の利益とは、債務者にとっての借入期間のこと。その借入期間の期日まで、債務を返済しなくてもいいという期間的な利益を得ているという考え方です。逆に期限の利益が喪失されるということは、借入期日前に債務が履行されるということになります。
たとえば、35年の住宅ローンを借りているのに20年目で期限の利益を喪失してしまった場合、残りの15年分についてはその時点で全額返済する必要があります。期限の利益が喪失されるケースは、債務者が破産・毎月の返済期日の不払い・金消契約違反等が考えられます。
抵当権設定契約書
金融機関が物件を担保とするため抵当権を設定する契約書のこと。住宅ローンを借りる際に金融機関が購入する物件を担保として融資するため、金融機関が物件に抵当権を設定する契約を取り交わす
全額返済できない場合
期限の利益を喪失すると債務者は全額返済する義務がありますが、実際はお金を返せる状態にはありません。そこで、抵当権を設定した物件を競売にかけることで、債権者は貸したお金を回収します。
借入期間の計算法
基本的に住宅ローンの最長借入期間は35年ですが、築年数が古くなると最長借入期間での借り入れができないこともあります。借入期間が短くなると、毎月の返済額が加算されるため、年収に対しての返済比率が高くなります。当然、返済比率が高くなると審査が厳しくなるため、築年数の長い(30年超)築古戸建の場合は、住宅ローンの借り入れが難しくなるのです。ただし、すべての金融機関で同じ借入期間を設定しているわけではないので、一つの金融機関でローン審査に通らなかったからといって、他の金融機関も同様だとは限りません。
金消契約時必要書類
- 実印
- 印鑑証明書(1通)
- 契約印紙
- 住民票 2通(ローン契約用・登記用)
- 本人確認書類(免許証、パスポート等)
- 通帳、銀行届出印
まとめ
- ローン本審査が終わったら決済を行う日を確定させる
- 期限の利益を喪失すると全額返済する必要がある
- 築年数が古くなると借入期間が短くなってしまう